今から考えておくべき不動産投資のリスクは?

これから不動産投資を始めるという人が最も不安に思っているのは、今後どのように不動産投資を取り巻く環境が変化していくかということでしょう。
不動産投資をするにあたってどんな問題が生じるか、そしてその問題にどう対処していくかを講じるためには、あらかじめどんなリスクが考えられるかを知らなければなりません。

◯不動産価格は上昇傾向
現在、不動産投資市場は概ね良好だと言えます。
都内の新築マンションの平均価格は6年連続で上昇しており、2018年上半期の平均価格は5,962万円。前年同期比にすると1.3倍となっています。

不動産投資を始めるには悪くないタイミングに思えますが。この状況がいつまで続くかという不安は拭えません。

◯2020年東京オリンピックと終了後の需要低下
いま不動産投資のリスクを語る上で最も話題にのぼるのが2020年の東京オリンピックです。

今はオリンピック特需で、首都圏、特に湾岸エリアの物件の人気が高まっています。しかし、2020年のオリンピック終了後はこうした需要が一気に低下し、不動産価格全体が低下し、投資にも悪影響があるのではないかと懸念されています。

野村不動産が2018年5月に行った不動産投資に関する意識調査でも、投資を行う多くの人が東京オリンピックを意識していることが明らかになっています。今が物件買い時だと思っている人の多くがその理由に東京オリンピックをあげています。
しかし一方で、同調査では2015年以降「今、投資用不動産が買い時だと思うかどうか」について、今ではないと考えている人の割合は徐々に増えています。オリンピック特需を感じつつも、2020年以降に訪れる特需終了を恐れている人の多いことがうかがえます。

◯生産緑地築の指定解除問題
東京オリンピックの次に注目されているのが2022年の生産緑地問題です。

生産緑地築というのは生産緑地方で定められた地域地区で、地盤保持や保水による災害防止、農林漁業をと調和した都市環境づくりなどを目的としています。
生産緑地に指定されると固定資産税が安くなるなどのメリットがある一方で、農地として維持管理を求められたり、他の目的に使用することを禁止されたり、売買が厳しく制限されるなどの制約もあります。

こうした生産緑地の約8割が2022年に指定が解除されるため、市場にたくさんの土地が出回るのではないかということが今問題視されています。

平成27年度の時点で、生産緑地に指定されている面積は全国で13,442ヘクタール。東京都に限っても3,296ヘクタールもあります。東京都の面積が218,800ヘクタールですから、総面積のうちおよそ6%が生産緑地ということになります。
さて、東京都の生産緑地3,296ヘクタールのうち8割が指定解除されるということは、約2,637ヘクタール、つまり約26平方kmの土地の用途が自由になるということです。
流石にこのすべてが売りに出される可能性が低いですが、たとえこのうちの3割ほどが住宅用地として販売に出されても7.8平方kmにもなります。
一戸建て住宅に必要な敷地が30坪(約99㎡)だとすると、7.8平方km÷99㎡で約7万8千戸分の住宅用敷地になります。年間の新築住宅建築数がだいたい15万棟ですから、東京だけでもその半分以上にのぼる住宅が供給されてしまう可能性があるということになります。

いくらなんでも本当にこれだけの住宅が短期間で供給されてしまうことは考えにくいですが、指定解除されたたくさんの土地が売りに出されることで、需要と供給のバランスが大きく変化する可能性は高いです。少なくとも土地価格の下落は避けられないものになるでしょう。

◯全国的な空き家増の問題
全国的に広がる空き家の増加も不動産投資において無視できないリスクです。

空き家問題は不動産投資界隈だけでなく、きちんと管理が行われず放置された空き家が倒壊して周囲に危険を及ぼす可能性など、社会的に大きな問題になっています。
投資に興味がない人でも、空き家は危険で、物件を所有することが将来的なリスクにつながるという認識が広がりつつあります。

野村総合研究所が2017年に発表した予測では、2023には全国の住宅のうち21.4%が空き家になってしまうとされています。

空き家が増える理由としては、まず人口減があげられます。人口が減れば需要に対して供給過剰になり、買い手のつかない物件はこれからどんどん増加します。
そしてもう一つがライフスタイルの変化です。郊外の一戸建てに住み、そこから都内に通勤するという形から、職場近くに住み、そこから短い通勤時間で勤務するというスタイルが主になっています。

都市部に人口が集中することになるため、地方や郊外の空き家率は21.4%という数字以上に加速することでしょう。
今後、地方や郊外の物件で投資を行うのはますます困難になる可能性が高いです。

◯高齢化問題
空き家率とあわせて考えておきたいのが高齢化問題です。
知っての通り、日本の人口における高齢者の割合は年々増加しており、2025年には人口の3割が高齢者になると予測されています。

収入の少ない高齢者が家を買ったり、引っ越したりするのは難しく、不動産市場は厳しいものになると予想されます。
更に、現役世代の負担増も問題です。高齢者増加に伴い、現役世代一人あたりの負担も増加し、消費や投資に対して更に消極的になっていく可能性が高いです。

◯リスクを理解すれば対策ができる
ここまで不動産投資のリスクをいくつかあげて来ましたが、リスクがあるからと言って投資をやめるべきだということではありません。国内市場は縮小傾向ではあるものの、首都圏は人口増の傾向にありますし、海外に目を向ければ成長が望める市場がたくさんあります。
重要なのはどんなリスクがあるのかを正しく理解した上で、必要な対策を講じておくことです。リスクに対する準備があれば、万が一の事態があっても冷静に対処できます。