投資対象に不動産を選ぶ理由の一つが、株やFXなどと比較すると低リスクで安定していることがあります。家賃収入があれば安定した収益を見込める上に、バブルでもない限り物件価格は不動産ほど急落しません。いざとなれば現物を売り払えるというのも魅力です。

一方で、初期費用が多くかかるというのも不動産投資の特徴です。最低でも数百万、時には数千万円ものローンを背負って投資をすることになります。いくらリスクが低いとしても、万が一失敗してしまうと、多額の損失と数十年にも渡るローンだけが残されてしまいます。

では、大きな失敗をしないためにはどんなところに気をつければ良いのでしょうか?

◯物件選びの失敗
不動産投資で成功するためには、良い物件を手に入れることが最重要です。物件選びを誤ってしまうと、挽回するのは非常に困難になります。

●立地の悪い物件
賃貸で最も重視されるのは立地です。

よくある間違いが、地方や郊外の物件を購入してしまうというもの。
こうした物件は価格が低く、利回りが良いため初心者が手を出してしまいやすいです。

一見魅力的に見えるこうした物件ですが、郊外や地方の物件は入居者が集まりにくく、空き室リスクが高いです。入居者がいなければ維持費がかかるだけの赤字物件です。
ただでさえ地方の物件は供給過剰です。今後の人口減の可能性を考えると、将来性もなく、売却も困難です。

●割高な新築物件
都心の物件や、駅に近い利便性の高いエリアでも油断はできません。

最近人気の新築マンションへの投資ですが、新築物件は中古物件に比べて割高であることを知らない人が多いです。
新築の物件価格には、建築費用や土地の費用に加えて、広告宣伝費や営業活動費、ディベロッパーの利益などが上乗せされています。販売価格のうちこうした費用が2割から3割を占めているとされており、実際の建物の価値は購入価格の70%から80%しかありません。

確かに新築物件は入居者からの人気は高いですが、購入時点で2~3割損しているのはあまりに大きいです。たとえすぐに売却したとしても、購入費用を取り戻すのは到底不可能です。

新築物件を購入する際は、不動産業者とうまく交渉して価格を下げたり、条件のいい融資を見つけて金利を下げたりするなどの工夫が必須になります。

●初心者は中古物件がオススメ
不動産投資に慣れないうちは新築よりも中古物件がおすすめです。
新築物件と違い、購入した瞬間に大きく損をするという心配がありません。

また、周囲の物件と比較することで、物件価格や家賃相場、需要などを判断しやすいというメリットもあります。

◯資金計画の失敗
●自己資金の割合が低い
不動産投資は自己資金が少なくても大きな投資ができるのが特徴です。
株やFXとは違い、物件という担保があるため、自己資金が少なくても大きなローンを組みやすいのです。

しかし、あまりに自己資金が少なすぎる不動産投資はリスクが高すぎます。

例えば自己資金100万円で3000万円の物件を購入する場合、3000÷100=30となり、本来所有している資産の30倍もの投資をすることになります。
株式の場合、信用取引を行う場合でも扱えるのは自己資金の3.3倍までです。ハイリスク・ハイリターンと思われがちなFXでも投資できるのは自己資金の25倍が上限です。
しかも、株やFXの投資では損をした時に備えるため、もう少し余裕を持って運用するのが普通です。株の場合は自己資金の2倍から2.5倍、FX投資でも10倍か20倍が現実的なラインです

安定していてそれほどリスクが高くないと思われている不動産投資ですが、自己資金の割合が少なければ、株やFXよりも遥かに高いリスクを抱えることになってしまうのです。

長く続いた低金利やマイナス金利の影響で、金融機関は不動産投資への融資を積極的に行っています。自己資金ゼロのフルローンや、物件価格以上の融資を行うオーバーローンも昔より多くなっています。不動産業者も、購入者を増やすために少ない自己資金で購入可能だということをアピールしています。
ただ、少ない自己資金で投資を行い、抱えるリスクを上昇させてしまうのは「安定感がある」という不動産投資のメリットを殺してしまうことになります。失敗を避けるためには、最低でも物件価格の10%、可能であれば20%から30%を自己資金で用意する必要があります。

●ローンの選択を間違える
できるだけ良い条件でローンを組むことも大切です。
購入時は物件価格や利回りばかりに注目してしまいがちですが、ローンの返済負担を抑え、少しでも早く完済するためには低金利のローンを組まなくてはなりません。

ローンの金利は金融機関の審査によって決まります。
審査の際、注目されるのは次の3つの要素です。
・物件の評価
・借りる人の属性
・借りる人の資産状況

どの要素を重視し、どう審査するかは金融機関によって微妙に異なります。全く同じ条件でも、金融機関が違えば金利も違います。

良い条件でローンを組むための方法には2つあります。

まず1つ目が条件を整える方法。
銀行からの評価が高い物件を選び、担保としての価値や収益性をアピールしましょう。
勤続年数を伸ばしたり、年収を増やしたりするのも重要です。

そしてもう一つが複数の金融機関を比べてみることです。
いくつかの銀行を見て回り、最も自分に良い条件で融資してくれるところを探しましょう。
不動産投資では、不動産投資会社の提携金融機関のローンを紹介されるのが一般的です。提携先の多い会社や、紹介実績の豊富なところを選ぶことで、金融機関の選択肢も広げることができます。

◯購入後のことを考えていないことによる失敗
●不動産投資を始めるということは不動産賃貸事業を始めるということ
株などの金融商品は、購入後は価格が上がるか配当金を待つだけです。市場の動向に注意する必要はありますが、持っている株券が経年劣化でだんだん価値を失ってく、などということはおこりません。

しかし不動産投資は違います。不動産を手に入れた後、順調に家賃を手に入れるためには、修繕や清掃などの維持を行い、維持する努力がかかせません。
不動産投資は「投資」と名がつくものの、実際に行わなければならないのは賃貸事業です。これには、株やFXなどの投資にはない様々なリスクが存在します。

・空き室、滞納リスク
物件があっても入居者が集まらなければ維持費がかかるだけのお荷物です。また、入居者がいても家賃が必ず順調に支払われるとは限りません。しかし、家賃収入が止まっても維持費やローンの支払は続くため、常に空き室リスクや滞納リスクには備えておく必要があります。

・家賃低下
賃貸の家賃は築年数の経過とともに低下していきます。また、エリアの人気が下がったり、周囲に類似物件が増えたりすることも家賃の低下につながります。

・災害リスク
地震や水害などの災害がおこると、修繕費が発生したり、周辺エリアの人気低下や人口減につながったりします。更に、物件価値も下落するため、出口戦略の変更も求められます。

●最終的に物件をどうするかを決めていない
不動産投資を行う際は、必ず出口戦略を考えておく必要があります。

売却益ではなく賃料を主目的とする場合でも同じです。老後の備えのつもりでも、墓まで持っていくわけにはいきません。最終的に投資物件をどうするのかは決めておくようにしましょう。
主な選択肢としては、売却、相続、自分で住む、アパートなどの場合は建て替えも視野に入ります。

不動産の価値というのは、時間が経てば経つほど下がってしまいます。入居者からの人気もなくなるため、家賃も下げなくてはなりません。一方で、修繕や維持にかかる費用というのは築年数の経過とともに増えていきます。設備の更新も必要です。
失敗を避けるためには、維持費が収入を超えるよりも前に手放してしまうことです。特に古いマンションは大規模修繕が資金不足で進まず、空き部屋ばかりで更に修繕が困難になり、売り払おうにも買い手がつかないという悪循環になりやすいです。赤字に気がついた時にはもう手放すのも困難ということも多く、早いうちに手放す判断を下すことが求められます。

◯不動産投資一本に絞ろうとする
●不動産投資の成功には本業の成功がかかせない
不労所得がほしい、本業を辞めて投資に専念するために不動産を購入する、という人は多いです。
しかし、不動産投資をするなら本業の仕事を続けたほうが成功しやすいです。

まず、不動産投資というのは意外と不安定です。
すでに述べたように、空き室や災害のリスクが常につきまといます。急に家賃収入が途絶えても、ローンの返済は続けなくてはなりません。この時、本業収入があればなんとか返済が続けられます。
しかし、本業を疎かにして収入が減ったり不安定になっていたりすると、急にやりくりが困難になり、生活にまで影響が出ることになってしまいます。

また、ローンを組む上でも本業の存在はかかせません。
金融機関の審査を受ける際、会社勤務のサラリーマンというのはそれだけで大きなアドバンテージを持っています。収入が不安定だったり、自営業だったりすると、不動産投資のような大きなローンでなく、クレジットカードですら作りにくくなってしまいます。
新規のローンが組めなくなると、新しく物件を購入して規模を拡大したり、より良い物件に買いかえたりすることも難しくなります。

夢のない話にはなりますが、一般の会社員が不動産投資で大儲けして、早めのリタイア、後は不労所得で生活……というのは現実的ではありません。
ローンの返済が終わるまで会社を辞められないとなると、30年から35年は本業も続ける必要があります。完済する頃には60歳で定年間近です。もちろん早めに返済を進められれば早めに退職することも可能ではありますが、それだけ余裕のある人はそう多くはないでしょう。

●不動産以外にも投資してリスクを分散することが重要
どんなに備えても、投資にはリスクがつきものです。
万が一の自体がおこった際に全てを失わないようにするためには、投資先を分散しておくことが必要になります。

例えば同じマンションに何部屋も持っていると、火事が起きたり死人が出て事故物件化したりした場合に物件価値が急落することになります。建物は別でも、同じエリアに物件が集中していると、地震や水害のリスクが大きくなります。
また、何らかの原因で国内の不動産価値が軒並み低下することも起こりえます。この場合、海外にも不動産を持つことで被害を軽減できます。

国内不動産だけでなく、海外不動産を所有するようにしたり、不動産以外に株や預金を持っておくなど資産を分散しておくことで、何かあった時の被害を少なくすることができます。

最初から色々と分散するのは難しいですが、得た収益を新たな不動産獲得だけに使うのではなく、他の方法でも運用していくことで、無理なく投資先を分散できるようになります。

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