不動産投資の中でも、新築ワンルームマンションへの投資は初心者の多い分野です。
老後の資産や将来に備えて投資を始めるサラリーマンも多く、彼らを対象にしたセミナーや説明会なども頻繁に行われています。
ただ、手をつける人も多い一方で、失敗談も非常に多いです。新築ワンルームマンション投資で失敗しないためには、何をすれば良いのでしょうか? また、どんな点に気をつけるべきなのでしょうか?

◯自分で情報収集をする
不動産投資の失敗を防ぐために最も有効な手段が、業者の言いなりにならず、自分で不動産について調べ、勉強するということです。

基本的に不動産投資会社の営業は物件が売れさえすればOKなのです。その後の運用がうまくいくかどうかは営業マンの知る範囲ではありません。もちろん中には親身になって相談に乗り、資産形成を助けようとしてくれる業者もありますが、自分の身を守ることを考えるのならばむやみに相手を信用するべきでないのは明白でしょう。
融資をする金融機関の場合、お金を返してもらわなければ困るので、不動産投資会社よりは信用しやすいかもしれません。とは言っても、返済さえなんとかなれば構わないのですから、投資によって利益が出ようが出まいが、貯金や資産の売却でカバーできればそれでいいと思っています。

不動産投資会社の中には投資のメリットばかりを説明し、話すべきリスクについて十分な説明を行わないまま契約をしようとする業者も残念ながら少なくありません。収支の見通しや利回りの計算も都合が良すぎるものが多く、うっかり鵜呑みにしてしまうと後で痛い目を見ることになります。

◯新築ワンルームマンション投資の前に行うべきことは?
●目標の設定
まずは不動産投資で何を得たいのかを明らかにしましょう。
「なんとなく将来が不安だからやる」というのが最も危険なパターンで、業者のいいように丸め込まれておかしな物件を掴まされる可能性大です。

目標を定めなければ、この後行う収支計算の結果が良いのか悪いのかすら分かりません。投資額をいつまでに回収し、その後どう運用するのかを最初に決めておきましょう。
また、目標を定めなければ、思うように運用がいかなかった場合、いつ物件を手放すべきなのかの判断が難しくなります。赤字ばかりの物件をいつまでもダラダラ持ち続けることがないようにするためにも、運用方針を決めておくことは重要です。

●収支を計算してみる
さて、目標を定めるのと同時に行うべきなのが収支の計算です。
マンション投資の収支については業者から貰える資料にも含まれていますが、投資会社に都合が良いように作られている場合も多いため、必ず自分で一度計算し、渡された投資提案と比較するようにしましょう。

毎年の収支については、次のように計算することで求められます。

家賃収入-維持管理費-税金等-返済利息-減価償却費=税引前利益
税金等には固定資産税と都市計画税が含まれます。
税引前利益から所得税と住民税を差し引いたものが税引後利益となります。
更に、税引後利益に減価償却費加え、元本の返済額を引いたものが終始結果、手元に残るキャッシュになります。

また、家賃収入を一定のままであるという想定のもとで計算し説明している業者もいます。
新築の家賃は高いですが、それは最初の1人だけで、2人目以降は周囲の家賃相場の影響を受けます。加えて、築年数の経過とともに家賃は下がっていくのが普通です。収支を考える際には家賃がどのように下がっていくかを考慮しなければなりません。

●利回りを計算してみる
投資物件の評価は利回りによって行われます。

しかし、利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があり、正確な判断のためには実質利回りが必要になります。
それぞれの利回りは以下のように計算して求めています。

表面利回り:年間の家賃収入÷投資額×100%
実質利回り:(年間の家賃収入-年間の経費)÷投資額×100%

計算方法を見て分かる通り、表面利回りでは経費のことを考慮していないため、実際よりも遥かに利回りが良くなります。不動産投資会社の中には、物件の評価をよく見せるために表面利回りを全面に押し出して宣伝している場合もあります。
しかし表面利回りは良くても経費のかさむ実質利回りはほとんどないような物件もあります。業者の言う「利回り」がどちらを指しているのかには注意が必要です。

更に、業者が実質利回りを持ち出して来たとしても油断はできません。必要経費の見通しが甘いケースも多いです。どんな経費が必要になるか自分で改めて計算し、業者の見込みとよく比較してみるべきです。

●経費の見積もりをする
物件を所有すれば家賃収入も入りますが経費もかかります。
正確な収支計算のためには正確な経費の見積もりがかかせません。

経費には以下のようなものが含まれます。
・管理費
・修繕積立金
・修繕費
・清掃費
・損害保険

不動産投資会社の多くは、必要経費を安く見せ、利回りをよく見せるようにしています。業者の示す必要経費が正確であるか判断するためには、おおよそどれぐらいの経費がかかるのかという相場を理解している必要があります。
相場を知るための最も有効で簡単な手段は、近隣の類似物件の管理費や修繕積立金などをチェックすることです。

また、管理費や修繕積立金は自分で計算してみることもできます。
修繕積立金には国土交通省のガイドラインがあり、まずはそれに沿っているかの確認をしましょう。
例えば15階以上で建築延床面積5,000㎡のマンションでは。専有床面積あたりの修繕積立金の平均は月218円です。
部屋の広さが15㎡なら、218円×15㎡で修繕積立金は月3270円になります。

管理費については、家賃に対して管理費と修繕積立金の合計が30%までというのが一つの目安です。つまり15㎡のワンルームで修繕積立金が3270円、家賃が5万円の場合、50,000×0.3-3270=11,730が管理費の上限となります。

●空き室・滞納リスクを収支計算に組み込んでみる
家賃収入が安定するかどうかは、入居者がどれだけ安定して集まるかによります。

不動産業者の説明では、常に満室という前提で話が進むことが多いのですが、実際にはそんなことはありえません。順調に入居者を集められたとしても、退去と入居の間には清掃や募集のための期間が必要になります。
特に築年数の経過した物件は入居者を集めにくくなるため、空室率は徐々に上がっていくかもしれないということは覚えておいてください。

また、入居者がいても確実に家賃を得られるとは限りません。どんなに入居前審査をしっかり行っても、滞納のリスクは必ず存在します。

収支を計算する際に、不動産投資情報サイトなどの空室率を参考に、空き室・滞納額を見積もっておきましょう。
例えば空室率が10%ならば、1月分の家賃*12ヶ月*10%を税引前利益から引けばOKです。

◯ワンルームマンションを購入する際の注意点
ここからは、物件購入時に気をつけておきたいポイントについていくつか解説してゆきます。

●物件の資産価値は時間経過で落ちていく
新築ワンルームマンションの投資について考える場合、物件の売却益ではなく家賃収入を目的にするケースが大半ですが、最終的な損益は物件を売却するまで決まりません。
また、運用がうまくいかなかった時や、より良い物件に買い換える際なども物件を手放すことになります。

不動産の資産価値が築年数の経過とともに落ちていくのは周知の事実ですが、新築物件の場合、購入直後に2割から3割程度価値が下がります。

新築物件の資産価値が購入直後に急落する理由は大きく次の2つに分けられます。
1つ目は、新築物件の販売価格には広告宣伝費などの経費や、不動産会社の利益が含まれているためです。実際の不動産価値はこれらの費用を差し引いたものになります。
2つ目は、新築物件が「新築」なのは最初の購入者だけであるからです。購入後すぐに手放したとしても、購入側にとっては「中古」物件です。中古物件の価格は周囲の不動産価格の影響を受けるため、新築時の価格よりも販売価格を下げることになります。

新築物件について「うまくいかなくてもすぐに手放せば損失が少ない」と説明する業者もいますが、実際には購入直後でも不動産価値は急落します。
新築マンションを購入するなら、購入時点で購入価格の2割から3割り程度の赤字を抱えることになるという覚悟が必要です。

●投資用マンションは劣化が早くなりやすい
投資用のマンションの場合、住人と物件の所有者が違う部屋が多くなります。

物件の所有者からすれば、自分で住むための部屋ではないので管理や修繕は必要最低限です。入居者からしても、自分の所有物ではなく、何十年も暮らす部屋ではありませんから、やはり維持管理への関心は低いです。

そのため、投資用マンションはそうでない物件に比べて、全体的に見ても管理状況が悪くなりやすく、劣化のスピードも早くなりやすいです。
修繕時期が想定より早くなったり、修繕規模が予定より大きくなったりしやすく、修繕費用も多くかかります。タイミングによっては積立金では工事費が足りず、一時金の支払いが求められるケースもあります、

●家賃保証・買い取り保証は当てにならない
空き室リスクを軽減する手段の一つに家賃保証があります。

これは空き室が出た場合に管理会社が一定額を保証するもので、入居の有無にかかわらず一定の収入が期待できるという仕組みです。家賃保証をアピールポイントとする業者も多く、特に安心感を求めている層に人気のシステムです。

ただしこの家賃保証、非常にトラブルの多いシステムでもあります。
保証額は一定期間ごとに見直しがあるのが普通で、時間経過とともにだんだん下がっていくのが普通です。築年数の経過で家賃そのものもだんだん下がるのですから、保証額が引き下げられるのも当然です。しかし、家賃が下がるよりもずっと早いスピードで保証が減らされてしまうことも多いのです。
中には保証額の見直しについて明記していない契約もありますが、その場合でも業者から保証額の値下げが求められるケースが多いです。

買取保証でも同様の問題があります。
数十年後に業者による高額買取を謳っていても、実際には二束三文で買い叩かれるケースも多いのです。

家賃保証や買取保証については、トラブルや訴訟なども多く報告されています。見せかけの安心感に騙される前に、実情について調査しておく必要があるでしょう。

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